提案辞退



年明けから提案作業が多い。


正直、いい加減ちょっとうんざりしてきていた中で、最近、ある顧客からRFP(Request For Proposal:提案依頼書)が提示された。
チームとしては他の案件の提案作業も抱えていたが、うまく調整しながら提案作業を引き受ける予定だった。


このため、週末にRFPを読み込んで、提案内容とプロジェクトのシナリオをいくつか考えていたのだが・・・
どう考えても、成功するプロジェクトのシナリオが思い描けない。


最も懸念されたリスクは、常識では考えられない程の短い開発期間と実績のないパッケージの導入。
「これらの問題を回避しながら、プロジェクトを成功させるための提案なんでできるのだろうか?」、正直成功するシナリオが全く描けない。


更にRFPで指示されている提案期限は2週間。
見積りと提案自体の社内審査を考慮すると、実質1週間ちょっとで提案書とプロジェクト計画と見積りを準備しなければならない。


まともに考えたら、責任あるプロジェクト提案は不可能だった。


週明け、会社で他のメンバーの意見も聞いてみたが、全員、同様の危惧を抱いていたことがわかったが、この時点で腹は決まった。
直ぐにメールで「提案作業を辞退させてもらいたい旨」を上層部に通知し、営業サイドと上層部に対しても直接会って事情を説明し、一応の了解はもらって、この案件についてはお役御免となった形だ。


会社としてこのRFPをどう扱うのか(辞退するのか、別な担当者が引き受けるのか、形だけでも提案をするのか)わからないが、営業担当者や声をかけてくれた人達の期待に応えられなかったことについて、正直切ない気分になった。


だれもが「絶対に成功する」と確信してはじめても、結果として、失敗してしまうことが多いのが、SIプロジェクトの宿命。
どんな理由があっても、失敗する可能性を完全に排除できない無責任な提案はするべきではないと、個人的に思う。
プロジェクトチームのためにも、会社のためにも、そして何よりプロジェクトが失敗して最も大きな損害を被る顧客のためにも、これで良かったんだと思う。